評価面談で、上司に褒められた。
口から出たのは、「いや、たまたまです」。
謙遜のつもりだった。
でも家に帰って気づく。
自分でも、本当に「たまたま」だと思っている。
診断で強みが出ても、「そんなことない」と打ち消す。
経歴を並べれば、それなりのものがある。
なのに、「自分に強みがある」という感覚だけが、ない。
マネージャーと言っても、たまたま年次が来ただけ。
あのプロジェクトも、メンバーが良かっただけ。
資格も、取っただけで使えていない。
こうやって、一つずつ打ち消していく。
先に言っておきたい。
自信がないのは、実力がないからではない。
あなたは「振り返り」の精度が高すぎる。
できたことと、足りなかったこと。
両方見えている人は、足りなかったことのほうを重く数える。
改善のために使うなら、正しい姿勢。
でも、その採点方式のまま自分の全体を評価するから、点数がいつも辛くなる。
つまり自己疑念は、謙虚さでも事実でもなく、採点方式の偏り。
そしてもう一つ、多くの人が順番を間違えている。
「自信がついたら、動こう」
この順番で待っていると、いつまでも動けない。
自信は、動く前に湧いてくるものではないから。
自信の正体は、感情ではなく「根拠の量」。
やった。できた。もう一回できた。
この事実が溜まった状態を、あとから「自信」と呼んでいるだけ。
だから、順番は逆。
動くから根拠が溜まり、根拠が溜まるから自信になる。
湧くのを待つのではなく、集める。
集め方の設計は3つある。
①直近1か月の「できたこと」を、大小問わず3つ書き出す。
大きな成果でなくていい。
「期限までに出した」「後輩の相談に乗った」で十分。
足りないことを数える練習は、もう十分すぎるほど積んできたはず。
できたことを数える練習が、単純に不足しているだけ。
②「たまたま」と思っている成果を、手順に分解してみる。
あのプロジェクトがうまくいったとき、自分は何をしたか。
誰に、いつ、何を確認したか。
分解して手順が書けるなら、それは運ではなく再現性。
たまたまは、3回続かない。
③自信を、条件から外す。
「自信がないままやること」を1つ決めて、小さくやる。
やった事実は、感情と違って消えない。
その1件が、次の根拠になる。
あなたに足りないのは実力ではなく、
自分に有利な証拠を数える練習。
打ち消す力は、裏返せば検証力。
向き先を変えれば、そのまま武器になる。
構造は、わかれば変えられる。